あなたは離職票を書くうえでこんなことに迷っていませんか?
- 通勤費定期代って月割り?
- 通勤手当の精算があるんだけどどうしたらいいの?
- 時間外手当は前月・当月どっち?
- 休業手当を支払った場合はどうするの?(助成金をもらった場合は?)
- とにかく書くのに時間がかかるんだけど、どうにかならない?
そんな担当者だからこそ気になる細かいポイントを解説してきます。
離職票における通勤定期代の計算方法
通勤定期代は
「月割り」です
例えば、35,000円の6カ月定期代を3月(4月~9月分)と9月(10月~3月分)に支給していたとしましょう。
そうすると
35,000円÷6カ月=5,833.33333・・・・となりますよね。
では端数はどうするかというと
最後の月(3月と9月)に加えます。
つまり通勤手当は月5,833円と計算して、最後の月(3月と9月)は「5,833円+端数」で通勤手当を計算します。
では、最後の月の「5,833円+端数」はどうやって割り出すのでしょうか。
手順は下記のとおりです。
- 電卓で「35,000」「÷」「6」と入力
- 「5,833.33333」と出るので電卓の「←」で小数点を消す
- 電卓で「5,833」表示される状態になったら「×」「5」を入力
- 「29,165」になります
- 電卓で「-」を押す
- 6ヵ月定期代の「35,000」と入力(29,165ー35,000ということ)
- 「-5,835」と表示されます
ここで出た5,835円が離職票の最後の月に通勤手当代として計算に入れる金額です。
例)
基本給:200,000円
通勤手当:35,000円(6カ月定期)
退職日:3月31日
という条件の人の離職票を作るときには
10月:205,833円
11月:205,833円
12月:205,833円
1月:205,833円
2月:205,833円
3月:205,835円
となり、通勤手当は月割りされ、最後の月に端数の2円がたされます。
以上が離職票の通勤手当の基礎的なことですが、次は通勤手当の精算が出た場合の計算方法です。
通勤手当が精算された場合の賃金計算
離職票の賃金を計算する時に通勤手当(定期代)が精算された場合は、
「支給された額+精算額」を「定期代支給月から退職月までの月数」で割ります。
なかなか文字にすると難しいですね。
例)
基本給:200,000円
通勤手当:35,000円(6ヵ月定期)
通勤手当の精算:-20,000円
通勤手当支給日:3月(4月~9月分)
退職日:6月30日
だとします。
この場合の通勤交通費はどうなるかわかりますか?
正解は
(35,000円ー20,000円)÷3ヵ月=5,000円
です。
つまり、通勤交通費の精算が入った場合、離職票の賃金額は支給された6ヵ月定期代から精算額を引いた額を退職日までの月で割ります。
その計算で出した賃金が離職票の1カ月の通勤交通費として計算されます。
6ヵ月の賃金で表すと下記のとおりです。
1月:205,833円
2月:205,833円
3月:205,835円
4月:205,000円
5月:205,000円
6月:205,000円
という感じです。
以上が通勤手当が精算になった場合の賃金額の計算でした。
時間外手当は前月・当月どっち?
離職票の時間外手当は
当月払いの場合は前月分、翌月払いの時は当月分として考えます。
例えば
1月の時間外手当が2月に支払われている場合、実際に支給されているのは2月ですが、時間外手当としては1月の分なので離職票の賃金としては1月分に加えます。
例1)当月締・当月払 時間外翌月支給
基本給:200,000円
1月給与の時間外手当:30,000円
2月給与の時間外手当:40,000円
3月給与の時間外手当:50,000円
離職票
1月:240,000円(200,000+40,000円)
2月:250,000円(200,000+50,000円)
上記のとおり、時間外手当は翌月支給しているだけで、当月分としてはひと月前になるので、離職票ではひと月前の賃金として計算します。
例2)当月締・翌月払 時間外翌月支給
基本給:200,000円
1月給与の時間外手当:30,000円
2月給与の時間外手当:40,000円
3月給与の時間外手当:50,000円
離職票
1月:230,000円(200,000+30,000円)
2月:240,000円(200,000+40,000円)
3月:250,000円(200,000+50,000円)
この場合は基本給が翌月払い、時間外手当も翌月払いというわけで、月ずれはありません。
ですので、支給された給与がそのまま離職票の賃金となります。
このように離職票の賃金は何月分になるかによって変わってきます。
あなたの職場の給与はどうなっているか、確認してみてください。
休業手当を支払った場合(助成金をもらった場合は?)
休業手当をもらっていた従業員がいる場合は、離職票の賃金に含めて記入し、さらに備考に「休業手当の金額と日数」を記入します。
なお、賃金支払対象期間の日数についても休業手当を支払った日は1日としてカウントします。
引用:厚生労働省ホームページ
また、雇用調整助成金を受けた場合、余白に「雇調金」と記入し、合わせてその助成金の支給決定年月日も記入してください。
1日のうちの一部が休業した場合は、休業手当を除いた賃金額が平均賃金の 60%以上の場合には休業日数については記載の必要はありません。(賃金+休業手当額がその日の賃金となります。)
休業手当を除いた賃金額が平均賃金の 60%未満の場合には、休業日数は 1 日とし、その日に支払われた休業手当+賃金の額を記入してください。
離職票が1枚で書ききれない場合
欠勤・復社を繰り返しているため、離職票が1枚で書ききれない場合の対処法です。
この場合は「続紙」を使います。
続紙とは離職票が2枚以上必要な時に使う書き方です。
記入例は下記の通り。
※引用:北海道ハローワーク
また、記入例には書いていませんが1枚目には左上に「続紙あり」と、2枚目には左上に「続紙」と書いてください。
これで、ハローワークに持って行けば受け付けてもらえます。
離職票を早く書く方法
ここからは離職票を早く書くコツを1つお教えします。
それは「算定基礎日数を縦に書く」です。
こちらをご覧ください。
このように離職に縦に離職票を書いていきます。
この例ですと、最初に
12,11,10,9,8,7,6・・・・
次に
1,1,1,1,1,1・・・・
次に
12,11,10,9,8,7,6・・・・
次に
31,30,31,30,31・・・・
という具合に月を縦に書き、次に日を書き、次に月を書きというふうに書いていきます。
こうやることで、あまり悩まずに機械的にできるので、離職票が早く書けます。
騙されたと思ってやってみてください。
慣れればこちらのほうが早く書けます。
また、「離職票を早く書く方法」は動画でも解説しています。
ぜひ、ご覧ください。
まとめ
離職票って賃金の計算マニュアルみたいなものはないし、いろいろなパターンがあって、めんどくさいですよね。
僕も慣れるまで時間がかかりました。
とわいえ、手を抜いて間違えてしまえしまうと退職者の今後の生活にも関わってきます。
間違えがなく、かつ素早く離職票が書く方法は人それぞれやり方があるかもしれませんが、
この記事で少しでも労務担当者のお役に立てれば幸いです。