社会保険の手続きが全くわかりません。基礎から教えてくれませんか?
そんな悩みにお答えします。
社会保険の手続きって意外と複雑で難しいんですよね。
特に初めてやる人にとっては「いつ・どんな時に・なんの書類が必要か」なんて勉強しないとわかりません。
この記事では、社会保険手続きの初心者、もしくは社労士の資格取得を目指している方に向けて、わかりやすく、担当者目線で解説していきます。
ご覧いただければ、社会保険手続きの流れがザックリと把握できると思いますので、ぜひご覧ください。
社会保険手続きの全体像
まずは、社会保険手続きの全体像を把握しましょう。
今回取上げる手続きはこちら
- 取得届:従業員が入社した時
- 喪失届:従業員が退職した時
- 賞与支払届:賞与を支払った時
- 算定基礎届:年に1回の社会保険料見直し
- 月額変更届:給料が大幅に上がった、または下がった時
以上、5つを解説します。
細かい手続きはまだありますが、今回は基本的なものだけを解説。
解説する例はすべて正社員を想定して解説します。
従業員が入社した時:取得届
従業員が入社した時の必要書類
取得届
- 雇用保険被保険者資格取得届
- 健康保険被保険者資格取得届
- 厚生年金保険被保険者資格取得届
扶養関係
- 健康保険被扶養者届
- 国民年金第3号被保険者届
従業員が入社した時に作成する届出を「取得届」と言います。
正社員が入社した場合は、「雇用保険」「健康保険」「厚生年金保険」の3つの社会保険に加入しなければいけません。
ですので「4月1日に〇〇さんが入社したので4月1日から保険に加入しますよ」っていうことを届出しなければいけないのです。
例えば「健康保険被保険者取得届」は、「健康保険」の「対象者」の「加入届」という意味になります。
取得届は入社から5日以内が目安です。
以上が取得届についてでした。
続いて、扶養関係の届出です。
「扶養」というのは、「養っている人がいるよ」という意味です。
扶養する人がいない場合は届け出る必要はありません。
(健保組合によっては扶養者がいなくても健康保険被扶養者届を提出してくださいという所もあります)
「健康保険被扶養者届」と「国民年金第3号被保険者届」は名前は全然違いますが、両方とも「扶養している人がいるよ」という書類になります。
少し詳しく言うと下記の通りです。
・健康保険被扶養者届
「妻・夫・子供・父母など家族を扶養しています。」という届出です。届出することによって家族分の健康保険証を作ってもらうことができます。
・国民年金第3号被保険者届
「妻または夫を扶養してます」という届出です。届出することで、扶養者の年金の支払いが免除できます。子供や父母などは対象外です。妻・夫だけの届出になります。
※社会保険とは関係ないですが、従業員が入社の際は、「給与所得者の扶養控除申告書」を書いてもらってください。これがないと給与計算の時に所得税が高くなります。
従業員が退職した時:喪失届
従業員が退職した時の必要書類
- 雇用保険被保険者喪失届
- 健康保険被保険者喪失届
- 厚生年金保険被保険者喪失届
- 離職票
従業員が退職した時に提出する書類を「喪失届」と言います。
簡単にいうと「◯◯さんは4月1日に保険を外れます」という届出です。
ここでいう「保険を外れる日」を「喪失日」と言います。
ここで1点、注意していただきたいのが、3月31日付で退職する人の喪失日は4月1日になるということです。
なぜかというと、3月31日時点では、まだ会社に在籍していますよね。
保険の加入期限は4月1日で切れましたという届出が喪失届ということです。
以上が喪失届についてでした。
続いて「離職票」ですが、離職票というのは、退職者が「失業保険をもらうために必要になる書類」です。
失業保険というのは、職についておらず、仕事をさがしている人に、次の仕事を探すまでの生活費として給付される保険です。
離職票は、退職者にとって今後の生活費に関わる大切な書類です。
忘れずに作成しましょう。
ただし、提出しないとその後の処理が進まないので、なるべく早く提出するようにしましょう。
賞与を支払った時:賞与支払届
賞与(ボーナス)を払うと健康保険・厚生年金の「賞与支払届」の提出が必要になります。
なぜかというと「賞与(ボーナス)でも社会保険を徴収してね」という法律があるためです。
なので「会社でボーナスを出したので、これだけの社会保険料払いますよ」ということを健康保険組合と年金事務所にお知らせしなければならないのです。
「賞与支払届」は多くの会社が年2回。
賞与の支払日から5日以内に届出となっています。
年に1回の社会保険料見直し:算定基礎届
社会保険料(健康保険・厚生年金)はどうやって徴収額を決めているか知っていますか?
正解は、4月から6月の給料の平均で決めているんです。
その社会保険料の徴収額を1年に1回決定するのが「算定基礎届」です。
算定基礎届は、4月から6月の給料の平均を計算して、7月10日までに届け出ます。
そして、届出した保険料は10月の給料から変更になる。
というのが、1年に1回の行事です。
算定の細かい計算方法などは下記の記事で解説しています。実際に作成する時にご覧ください。
給料大幅に上がった・下がった時:月額変更届
算定基礎届では社会保険料の金額が変わるのは1年に1回と言いましたが、例外があります。
それは、大幅に給料が上がったり、下がったりした時です。
大幅に給料が変わった場合は変わった月から4ヵ月後に社会保険料が変更になります。
この変更するための届出を「月額変更届」または「随時改定」といいます。
なぜ、4ヵ月後かというと、給料が上がった月(下がった月)から3ヵ月の平均を見て、4ヵ月目から保険料を変えるからです。
例えば、10月から昇格になり基本給が上がったとします。
そこから3ヵ月。つまり10月、11月、12月の平均を計算して、大幅に上がっていれば1月から保険料が上がるという仕組みです。
主に昇格や降格、手当の増加によって発生します。
提出期限は給料が上がった(下がった)月から4ヵ月後できるだけ速やかに。
実務上は給与計算ソフトを使っていれば自動的に対象者を抽出してくれますのでご安心ください。
まとめ
社会保険には他にも細かい手続きがありますが、今回は主要なものを紹介させていただきました。
かなり噛み砕いて解説しているので省いてる部分もありますが、社会保険手続きの初級編ということでご了承ください。
社会保険の手続きは専門的な知識が必要です。
初めはなかなか難しいので、この記事でザックリと概要をつかんでいただけると幸いです。