給与計算がいつも間違っていて自信がなくなってきました。
良いチェック方法があれば教えてください。
そんな悩みにお答えします。
「給与計算業務は間違ってはいけない」と言われるけど、やってみるとけっこう間違っちゃうんですよね。(給与計算をやったことがある人ならわかるはず)
とはいえ、間違いたくて間違った人はいないはず。
なんとかしてミスを少なくしたいですよね。
そこで今回は実際に私がやってみて効果的だった給与計算のチェック方法をご紹介します。
ご覧いただければ、あなたの給与計算ミスを軽減することができると思います。
給与計算ミスに悩んでいる方は、ぜひご覧ください。
給与計算のチェック方法
今回ご紹介するチェック方法は下記の4つです。
- 前月と当月の差をチェックする
- 前年のイベントをチェックする
- チェックは必ずエビデンス(証拠)を見て確かめる
- 第3者目線になった気持ちでもう一度チェックする
一つ一つ解説していきます。
前月と当月の差をチェックする
給与計算は基本的には前月との変化を反映させる仕事です。
前月と当月の差を比較して「なぜこの項目に差が出ているのか」という根拠をすべて言えることができれば間違いはありません。
逆に言うと、前月との差額の根拠がわからないという状態であればミスの可能性が高いです。
例えば、毎月必ず発生する手当が前月と比べて大幅に減っている場合は、テータの取り込みミスの可能性があります。
また、前月と比べて極端に残業が少なかったら、勤怠の取り込みが間違っているかもしれません。
このように、前月の差をチェックすることによって、間違いが発見できることがあります。
では、どのようにチェックするかというと、私は給与システムからExcelを抽出して差額を出しています。
実務的な手順でいうと下記の通り。
- 給与システムから全従業員の給与データをExcelで抽出
- 項目名と項目ごとの合計を縦に並べる
- 前月のデータも同様に抽出し、合計を当月のデータの横へ縦に貼り付け
- 当月から前月を引く
- 項目ごとに前月と当月の合計差を出す
- 差の根拠を調べる
このような手順で私はやっています。
そして、完成したExcel表はような形になります。
例)
項目(合計) | 当月 | 前月 | 差 | 理由 |
基本給 | 3,000,000 | 2,500,000 | 500,000 | 佐藤300,000 入社 鈴木200,000 入社 |
家族手当 | 500,000 | 520,000 | ▲20,000 | 土屋 扶養減 |
健康保険料 | 1,230,000 | 1,220,000 | 10,000 | 田村10,000 2ヵ月徴収 |
厚生年金保険料 | 2,240,000 | 2,220,000 | 20,000 | 田村20,000 2ヵ月徴収 |
住宅補助 | 200,000 | 250,000 | ▲50,000 | 山本 満30歳のため |
このように項目ごとに前月との差額を出し、その理由を明確にすることによって、怪しい差額をあぶり出すのです。
例えば、社員が育児休業から復帰したのに社会保険料を免除したままになっている時などです。
差額がないからOKではないので注意しましょう。
前年のイベントをチェックする
前月の次は「前年」です。
給与計算では、年に1回支払われたり、年に1回控除したりする処理があります。
例えば「永年勤続」「表彰金課税」「業績報奨金」など、会社によって様々あり、年に1回のイベントで給与処理している場合です。
人間ですから、1年に一回だけのイベントだと忘れる場合がありますよね。
なので、必ず前年の給与を見て、特殊な処理をしていないか確認するようにしましょう。
必ず何か発見があるはずです。
前月と前年、両方比較をすることでさらにチェックが強化されます。
チェックは必ずエビデンス(証拠)を見て確かめる
従業員数が多い会社でよくあるのが、社員番号と金額だけが入力されているExcelをもらって、そのまま取り込むというオペレーションを行っている会社があります。
ハッキリ言いましょう。
ダメです。
なんの根拠もないのに、支給したり、控除したりするのは危険としか言いようがありません。
最低限、Excelの合計と人数が合っているという根拠資料をもらいましょう。(データを作った元資料など)
給与を変更するには必ず「エビデンス(証拠資料)」が必要不可欠です。
正しくやるのであれば、印鑑や電子承認があるものだったり、稟議、就業規則など「なぜこの処理をしたか」という証拠と、あなたが行った給与処理結果が結びついていることが正しい給与計算です。
これを怠ると、必ずミスが起こります。
そしてミスを起こした原因は給与処理をした給与担当者ということになるのです。
給与変更の確認は必ずエビデンス(証拠書類)ありきでやりましょう。
口頭で聞いて変更するのは間違いの元となりますので、最悪口頭でも必ずメモを残して処理をしましょう。
第3者になった気持ちでもう一度チェックする
これ、結構大事です!
なぜかと言うと、給与計算の実務担当は「あっているだろう」という思い込みが強烈にあるからです。
「ここはさっき入力したからチェックしなくても大丈夫」
「退職者は1人しかいないから大丈夫」
担当者はそんな思い込みでチェックしてしまいがちです。
そこで、私が行っているチェック方法は「第3者になった気持ちでもう一度チェックする」です。
気持ち的には「部下が行った給与計算をチェックする」という気持ちで最初からチェックしていく作業をイメージしてください。
「めんどくさいな」と思うかもしれませんが、意外とこれが効果抜群で、一呼吸おいてチェックすると意外なうっかりミスに気づいたりします。
チェックする時のポイントは「きっとあっているだろうと思わないこと」です。
思い込みこそ最大のミスの原因。
ここが改善できれば、かなりミスが減りますよ。
だまされたと思ってぜひ一度やってみてください。
給与ミスをしたときにのリカバリー
チェックにチェックを重ねて、対策してもミスは起こってしまうものです。
「起こってしまったミスをどうリカバリーするか」それも給与担当者の仕事ですよね。
でも、どうやってリカバリーしたらいいかわからないという悩みもあるでしょう。
そんなあなたにオススメの本を一冊ご紹介します。
この本は完全に実務担当者に寄り添った本です。
インターネットで検索しても出てこないような細かい手続きの仕方や、ミスした時の社員向けの文書、給与担当者向けのチェックリストも付いてきます。
給与計算や社会保険手続きでミスをしたときにどう対処すればいいかという参考書としても使えるので、給与担当者はぜひ手に取っていただきたい一冊です。
また、私が過去に実際やってしまったミスを公開しています。
どんな原因で発生したか、どんなリカバリーを行ったかを記載していますので、こちらも合わせてご覧ください。
まとめ【給与計算のチェックは超重要】
給与計算をしているとただのデータに見えてきますが、実際は社員の生活がかかった給与の支払いを行っています。
間違ったら社員の生活に直接かかわることにもなるのです。
とはいえ、私もこれまでたくさんミスをして、迷惑をかけまくってきました・・・。
そんな私が実際目に見えて効果が出たのが今回ご紹介したチェック方法です。
給与計算は思った以上に精神的にきつい作業ですよね。
特にミスをしたら気分がものすごく落ち込みます。
なので、給与計算のチェックは超重要です。
ぜひご紹介したチェック方法を試してみてください。
以上、給与計算のチェック方法で悩んでいるあなたに少しでも役に立てたら幸いです。