何がどう変わるんですか?
このような疑問にお答えします。
2020年の年末調整は大きく変わります。年末調整担当者の負担は間違いなく増えるでしょう。
この記事では、今回の変更点をザックリと、わかりやすく解説します。
まだ改正点を把握していない年末調整担当者の方に必ずお役に立てる内容となっていますのでぜひご覧ください。
2020年・年末調整の変更点をザックリと解説
変更点はざっくり言うと下記の3点。
- 基礎控除が10万円上がる
- 給与所得控除が10万円下がる
- 書類が変わる
基礎控除額
基礎控除額の変更点は下記の通り。
所得要件 | 基礎控除額 | |
2019年 | なし | 一律38万円 |
2020年 | 2,400万円以下(収入:2,595万円) | 48万円 |
2,400万円超~2,450万円以下 | 32万円 | |
2,450万円超~2,500万円以下 | 16万円 | |
2,500万円超 | 0円 |
基礎控除額は所得2,400万円以下の人は10万円アップの48万円ですが、2,400万円を超えると段階的に控除額が減っていきます。
給与所得控除額
給与所得控除額の変更点は下記の通り。
収入金額 | 162.5万円以下 | 162.5万円~180万円 | 180万円~360万円 | 360万円~660万円 | 660万円~850万円 | 850万円~1,000万円 | 1,000万円超 |
2019年控除額 | 65万円 | 収入金額×40% | 収入金額×30%+18万円 | 収入金額×20%収入+54万円 | 収入金額×10%収入+120万円 | 220万円 | |
2020年控除額 | 55万円 | 収入金額×40%-10万円 | 収入金額×30%+8万円 | 収入金額×20%収入+44万円 | 収入金額×10%収入+110万円 | 190万円 |
細かい計算が書いていますが、
ザックリ言うと給与所得控除額が10万円下がると覚えておいてください。
まとめると下記の通り。
収入要件 | 基礎控除額(前年比) | 給与所得控除額(前年比) | |
給与収入850万円 | +10万円 | -10万円 | プラマイゼロ。ほぼ変更なし |
給与収入850万円~2,595万円 | +10万円 | -10万円以上 | 変更あり |
2,595万円超 | +10万円未満 | -10万円以上 | 変更あり |
つまり、収入が850万円以下の人はほとんど影響がないということになり、850万円を超える人は増税になるということです。
2020年・年末調整新様式を解説
2020年から新しく「給与所得者の基礎控除申告書」と「所得金額調整控除申告書」という”項目”が増えます。
その「給与所得者の基礎控除申告書」と「所得金額調整控除申告書」は「給与所得者の配偶者控除等申告書」と合体。
「給与所得者の基礎控除申告書 兼 給与所得者の配偶者控除等申告書 兼 所得金額調整控除申告書」という3つを兼ね備えた1つの書類になります。
・・・はい、文字にするとわからないですよね。
実際の書類をご覧ください。
出典:国税庁
「もう、わけわかんない」という気持ち、痛いほど分かります。
でも頑張っていきましょう。
では、この3つを詳しく解説していきます。
給与所得者の基礎控除申告書
今回の変更で基礎控除の収入要件が加わったため、その収入額や所得額を申告する欄となっています。
また、次に解説する「配偶者控除申告書」も本人の収入要件と関連するため、「所得900万円以下」といった配偶者控除申告書用の判定が表示されています。(本人の所得額が900万円を超えると、配偶者控除が減額される)
給与所得者の配偶者控除等申告書
2018年に追加となった「配偶者控除申告書」の欄です。
本人の収入要件、配偶者の収入要件によって、配偶者控除額(または配偶者特別控除額)を決定する欄となっています。
こちらは、前と変わりません。ただ、見た目がギュッとなり小さくなってしまいました。
所得金額調整控除申告書
今回の変更で、収入が850万円を超える人は増税になるとお伝えしましたが、一定の条件を満たした850万円超える人への救済措置として「所得金額を調整する」という処置も行うことになりました。
その一定の条件とは下記のいずれかに該当する人です。
- 23歳未満の親族を扶養している
- 本人が特別障害者である
- 配偶者または扶養親族が特別障害者である
この3点のいずれかの条件に該当し、かつ収入が850万円を超える人に関しては所得金額に調整が入ります。
どうやって調整が入るかというと、収入額から給与所得控除額を引いた金額から、さらに「(給与等の収入金額 - 850万円 )× 10%」を引きます。
と言われてもピンとこないと思うので、、ザックリ言うと給与所得控除額が少し増える(減税になる)ということです。
はい、以上が2020年の年末調整で変更なる内容でした。
さて、ここまでご覧になられた方に質問です。
従業員に説明できますか?
正直、私はきついです。
2018年に「配偶者控除申告書」が増えただけでも結構大変でしたが、今回は2つ増えました。
今年の年末調整は担当者にかなりの負担がかかることが予想されます。
毎年手書きで年末調整を行っているみなさん。
私はシステム導入をおすすめします。
国税庁無料ソフト
2020年10月に国税庁から無料の年末調整ソフトがダウンロードできるようになりました。
国税庁・年末調整手続の電子化に向けた取組について(令和2年分以降)
正直かなり使えます。
従業員にうまく案内すれば作成から印刷まで一人一人がやってくれるので、年末調整担当者の負担はかなり軽減できるでしょう。
さらに、印刷だけではなくデータでも対応しているので、データで年末調整を行う会社も使えます。
ぜひ検討してみてください。
おすすめの有料年末調整ソフト(無料のお試し期間あり)
私は年々法改正があるたびに紙を配って従業員に説明しているのであればシステムの導入をおすすめします。
私がおすすめするソフトは下記の2つです。
2つとも無料のお試し期間があるクラウド型のソフトウェアです。
共通するのは年末調整をペーパーレス化でき、従業員本人が入力画面に沿って入力すれば、自動的にデータが年末調整担当者に飛ぶ仕組みになっています。
仕様としてはあまり変わりがありませんが、金額面など多少の違いはありますのでご紹介していきます。
freee
料金 | 月1,980円~ +1人あたり月300円 |
無料期間 | 1ヵ月 |
メリット | 安くて使いやすい・業界No.1の安定感 |
デメリット | プランによって使える機能が限られる |
人事労務freeeは最近上場を果たした業界No.1のクラウド給与ソフトです。
価格の安さ、使いやすさで支持を得ています。
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料金 | 31名未満:月額3,980円~5,980円 31名以上:要問い合わせ |
無料期間 | 30日 |
メリット | 多機能で給料計算に必要な機能がそろっている |
デメリット | 給与の支払い方法がクレジットカードのみ |
MFクラウド給与
freeeはプランによって使える機能に違いがありますが、MFクラウドそんに違いがなく、幅広く機能を兼ね備えています。
中小企業でも大企業でも対応でき、人気が高い給与ソフトです。
まとめ
2020年の年末調整は大きく変わります。
ザックリ言うと下記の3点です。
・基礎控除が10万円上がる
・給与所得控除が10万円下がる
・書類が変わる
とくに書類の変更は3つの申告書を兼ね備え、より複雑化します。
会社の年末調整担当者からしてみれば、この変更点を従業員に説明するだけで相当な負担増です。
また、手書きで年末調整を行っている会社はまだ多いと思います。
この機会にシステムを導入を検討するのもいいかもしれません。
年々複雑化する年末調整は、ミスするなというほうが難しくなってきています。
今のうちからしっかり勉強して、年末調整に備えましょう。