先日こんなニュースが流れてきました。
派遣社員でも3年勤務したら時給3割上げ!?
これは派遣社員にとっては朗報じゃないか!
そう思う方もいると思いますが、実はいいことだけじゃないとぼくは思っています。
それは何かというと
雇止めにされる可能性が高まるということです。
会社からしてみると派遣社員を雇っているということは人件費を抑えるために雇っているということが多いはずです。
なのに3年たったら給与を3割上げなきゃいけないとなると、別の派遣社員を入れるかアルバイトを入れた方が人件費を抑えることができます。
だから3年で雇止めという結果になる可能性が高まります。
また、派遣社員の場合、同じ雇用形態のまま同じ部署で同じ業務を3年を超えて行うことはできない決まりになっています。
これも今回の時給値上げと関係しています。
じゃあ派遣社員はこれからどうなっちゃうの?
この記事では派遣社員の3年ルールについて詳しく解説していきます。
3年勤務で時給3割値上げ(2020年4月から)
厚生労働省より派遣社員が同じ業務を3年経験を積んで、業務内容が変われば初年度より賃金が3割値上げするという指針が発表されました。
つまり、「派遣社員も正社員と同様に年数に応じて賃金を上げていきましょう」ということです。
派遣社員にとっては朗報ですよね。
でも、この改正には2点問題があると思います。
1点目は、会社から見れば人件費の負担が増えるので、派遣社員の雇止めが増える可能性があるということです。
派遣社員を雇う側からすればコストを抑える目的で派遣社員を雇い入れをしているところが多いので、賃金が上がると会社としてはコスト増になります。
そうなると、会社は負担が増えるからという理由で3年以上経験している派遣を雇わなくなり、派遣社員の雇止めが増える可能性があります。
2点目は、派遣社員の派遣先が減る可能性があるということです。
派遣社員を雇いたい会社としては、ある程度単価の目安があるはずです。
派遣社員の時給が上がるということは、単価が高くなるということになり、派遣先の選択肢が減る可能性があります。
つまり、時給が上がったことによって雇止めになり、次の職場も見つからなくなり、無職になるという可能性もありえるということになります。
ただ、ここで誤解されやすいのが、単純に同じ業務を3年経験すれば必ず時給が上がるかと言ったらそうではありません。
3年働いても「仕事内容が変わらなければ時給は上がらない」というのが今回の指針の内容です。
時給3割上げの条件としては
- 同じ業務で3年経験
- 3年目以降「業務内容が変わる」
の2点です。
職場が変わっても同じ業務やるのであれば時給は変わらないということになります。
じゃあ業務が変わったか変わってないかの判断はどうするの?
と思う方もいると思いますが、細かい判断基準はこれから明らかになってくるので、わかり次第お伝えします。
派遣社員の3年ルール
法律で派遣社員は同じ雇用形態のまま同じ部署で同じ業務をできるのは3年までという決まりがあります。
これが3年ルールというやつです。
ですが職場を変えなければいけないというわけではありません。
3年を超えると下記のどれかを選択することになります。
- 職場を変える
- 部署を変える
- 派遣元で無期雇用になる
- 派遣先に直接雇用される
ぼくが実際現場で見ていると「3年で職場を変える」という方が多いです。
人によっては部署を変えて同じ仕事をやってもらったり、直接雇用していたりする例もありました。
派遣元に無期雇用される方は少ないの印象があります。
なぜなら、派遣元に雇用されると派遣元の社員と同等になり、辞めづらくなって自由な働き方ができなくなってしまうからです。
3年ルールは働く場所が変わったり、雇用形態が変わったり、何かしら変化が起こります。
最初にお話しした「3年勤務で時給3割上がる」というのはこの3年ルールがあるからだと思います。
ただ、問題としては「3年勤務して仕事が変われば時給が上がる」ということになるのはちょっと矛盾しているとぼくは思います。
大企業から中小企業に派遣されれば時給だって下がるケースがあるはずですし、職場が変われば仕事のやり方や使うソフトだって違う場合があります。
Aの職場では即戦力になるけどBの職場では即戦力にはならないということもあるでしょう。
仕事内容が変わるならなおさらです。
とは言っても派遣社員にとっては時給を上げることは職場の変更によって給与を下げない対策にはなります。
まとめ
2020年4月から派遣社員にとって3年勤務で時給3割上げは大きな改正になりそうです。
そもそも2020年4月から「同一労働同一賃金」といって「アルバイトだろうが派遣社員だろうが正社員と同じような仕事をしているのであれば、同等の賃金を支払うべきだ」という改革が進められており、その改革の1つとして、3年勤務で時給3割上げという指針が発表されました。
派遣社員の時給引き上げがどう影響するか、まとめると下記のとおりです。
※日本経済新聞より引用
賃金を上げることによって雇止めだったり、派遣先がなくなったりする可能性があります。
でも、頑張れば派遣社員でも賃金が上がるというのは朗報かもしれません。