『有給の理由は必要?』『休憩は何分?』『残業代の計算方法は?』見れば解決!法律解説

この記事では次の疑問を解決します。

  • 「有給休暇」は法律で何日付与されることになってるの?
  • 「有給休暇」を取得するのに法律上、許可は必要なの?
  • 「休憩」って法律で何分休めるか決まってるの?
  • 「休憩」の時に電話対応や来客対応してたらどうなるの?
  • 「残業時間」って法律上、上限はあるの?
  • 「残業時間」の割増率って法律で決まってるの?
目次

有給休暇は入社半年で10日付与

有給休暇は法律上、下記の条件で付与されます。

年次有給休暇は、法律で定められた労働者に与えられた権利です。

通常の労働者(フルタイム)の付与日数

通常の労働者の付与日数

週休4日以下の労働者の付与日数

年次有給休暇の取得促進 >> 社員にも会社にもメリット

※厚生労働省ホームページ引用

全労働日の8割以上の出勤とは

有給休暇付与されるタイミングで、欠勤や休職などで8割以上出勤していなければ有給休暇は付与されません。

だたし、次の休暇や休業は出勤したとみなされます。

  • 年次有給休暇
  • 業務上の負傷・疾病などにより療養のための休業
  • 産前産後休暇
  • 育児休業
  • 介護休業

有給休暇の時効

有給休暇の時効は2年です。

例えば

入社半年後 ⇒「10日付与される」

有給残日数「10日

有給を1日も使わずに1年後 ⇒「11日付与される」

有給残日数「21日」(10日+11日)

有給を1日も使わずに1年後 ⇒「12日付与される」

有給残日数「23日」(11日+12日) 10日は付与から2年経過したため消滅

 

法律上はこのように2年前の有給は消滅してしまうので、最高で「40日(20日+20日)」の有給を持つことができます。

有給休暇の取得は法律上、会社の許可は必要ない

有給休暇を「許可制」として、不許可としたり、欠勤扱いとすることは違法です。

労働基準法第39条の第5項「使用者は、有給休暇を労働者の請求する時季に与えなければならない」と書いてあるからです。

 

ただし、会社側は

  • その労働者にしかできない業務があり、期日が迫っているなどの事情がある
  • 繁忙期や決算期などで今の時期に休暇を取られると業務に多大な支障が出る

などの事情により有給休暇の取得時期を変更することができます。しかし、あくまでも「不許可」ではなく「時期の変更」です。

休憩は「6時間を超えると45分」「8時間を超えると1時間」

休憩は以下のように法律で決められています。

労働時間 休憩
6時間 なし
6時間超~8時間以内 45分
8時間超 1時間

 

休憩を45分しか取っていないのに8時間を超えて労働するのは違法です。

また、休憩は必ず労働時間の途中に付与されなければならないと決まっています。

ですから、仕事の前に休憩したり、仕事の後に休憩するのは法律上の「休憩」ではありません。

休憩時の電話対応や来客対応は「労働時間」になる

休憩時間は労働者が「労働から解放」されていなければなりません

休憩時に電話対応や来客対応することは「労働からの解放にはならない」ため、労働時間になり、会社は別途休憩を与えなければなりません。

 

ただし、当番が決まっているわけではなく自主的に電話に出たり来客対応をした場合は労働時間に該当しないことがあります。

残業時間の上限は法律で決まっている

2019年4月に労働基準法の改正があり、残業時間について上限規制導入されました。

内容は以下の通りです。

時間外労働の上限規制

残業時間の上限は、原則として月45時間・年360時間とし、臨時的な特別の事情がなければこれを超えることはできません。

臨時的な特別の事情(繁忙期)があっても以下を超えることはできません。

  • 年720時間 
  • 平均80時間 (休日労働を含む)
  • 月100時間 (休日労働を含む)

月80時間は、1日当たり4時間程度の残業に相当します。

また、原則である月45時間を超えることができるのは、年間6ヶ月までです。

※上記に違反した場合には、罰則(6ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金)が科されるおそれがあります。

施行
大企業2019年4月~
中小企業2020年4月~
改正前
法律上は、残業時間の上限がありませんでした(行政指導のみ)

改正後
法律で残業時間の上限を定め、
これを超える残業はできなくなります。

※厚生労働省ホームページ引用

時間外の割増率は「時間外労働と深夜時間は2割5分」「休日労働は3割5分」

残業時間(法定時間外労働)とは1日8時間、1週40時間を超える労働時間を行わせた時間のことを言います。

時間外労働には働く時間によって割増率が異なります。

  • 法定時間外労働(1日8時間、1週40時間を超える労働時間)・・・2割5分以上の割増賃金
  • 1か月60時間を超える法定時間外労働時間・・・5割以上の割増賃金 ※大企業のみ
  • 深夜労働(午後10時から午前5時まで)の時間・・・2割5分以上の割増賃金
  • 法定休日労働(労基法第35条の休日)・・・3割5分以上の割増賃金
  • 法定時間外労働が深夜に及ぶ労働・・・5割以上の割増賃金
  • 休日労働(3割5分以上)+深夜労働(2割5分以上)・・・6割以上の割増賃金

 

法定休日労働(労基法第35条の休日)とは

労働基準法上は休日は週1回与えればよいとされています。

でも実際には週休2日制を採用している会社が多くあるため、法律で決まっている週1回の休日を法定休日」(会社で何曜日にするか決める)
法律で決まっていない休日を「法定外休日と呼んでいます。

 

例えば

日曜日が「法定休日」で土曜・祝日が「法定外休日」だった場合

日曜日に出勤した時間は3割5分以上の割増賃金が必要ですが、土曜・祝日は2割5分でも構わないのです。

実際の計算例

例1)

時給:2,000円

時間外労働:6時間

6時間×2,000円×1.25=15,000円

例2)

時給:2,000円

22時から24時までの2時間勤務

2時間×2,000円×(1.25)=5,000円

例3)

時給:2,000円

休日に6時間勤務

6時間×2,000円×1.35=16,200円

月給の人は「月給÷1か月あたりの平均所定労働時間」で時給を出してください。

平均所定労働時間がわからない場合は「(365(日)-年間所定休日(日) )×1日の所定労働時間÷12」で計算しましょう。

ちなみに、残業代を計算するときは家族手当・通勤手当・別居手当を除いた額で時給だします。

 

まとめ

「有給休暇」「休憩」「残業時間」は働いていれば必ず発生するものです。

でも学校では教えてくれないので、違法かどうかの判断ができないですし、会社の管理部(総務や人事)の人も間違えに気づかないことがあるのです。

労働関係の法律は知ってて損はありません。生きていれば必ず役に立ちます。

この記事が参考になれば嬉しいです。

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