【2020年4月・民法改正】総務・人事が知っておくべき2つの事

2020年4月 民法が120年ぶりに改正される

 

そんなニュースをたびたび見ますよね。

 

そんな中、総務や人事担当者のあなたはこんなふうに思ってませんか?
「私になんの関係があるの?」

 

結論を言いましょう。

ほぼすべての会社に関係あります。

しかも2つ

 

1点目が「身元保証書の変更」
2点目が「未払い賃金の時効」
この2点が民法改正によって総務・人事に関わってきます。

 

ですので現在、総務・人事関係の仕事をやられている方は必ず知っておきましょう。

では、解説していきます。

目次

身元保証書に賠償額の上限設定が必要

採用時の書類に従業員から「身元保証書」をもらっている会社は多いと思います。

 

そもそも身元保証書はどういう意味で従業員からもらっているかというと、企業が採用した従業員の身元を、第三者である身元保証人によって保証させ、経歴や素性に問題がないかの保証はもちろん、会社に損害を与えた場合に連帯して賠償責任を追うことを約束させる書類です。

 

今回の法改正ではこの「賠償責任を追うことを約束させる」という点が民法の改正にあたります。

 

では、どんな改正になるかというと

賠償額の明記が必要になります。

 

細かく言うと下記の3点です。

・賠償額の明示と合意が必要
・賠償額の上限がない身元保証書は無効
・賠償額は自由

 

つまり、採用時の書類に「身元保証書」を提出してもらっている会社は、

2020年4月以降に使う身元保証書のフォーマットを変更する必要があります。

 

民法改正後の身元保証書のひな型はこちら

身元保証書(民法改正後)

 

ちなみに賠償額の上限は「従業員に支払われる給与額を考慮した上限(目安として「月給の36ヵ月分」など)」と言われています。

上限額については決まりはありません。社内で検討してみてください。

 

 

ここまで身元保証書の賠償額について解説しましたが、

実はもう一つ民法改正に対応できる方法があります。

それは、身元保証人の制度をやめるという選択です。

 

もしくは、提出の理由を「何かあったときに賠償をしてもらうため」ではなく、「本人の身元を保証する」のみに変更し、賠償額を記載しないという選択肢もあります。

 

今回の民法改正にあたり、そもそも賠償まで必要かどうか社内で検討するのもいいかもしれません。

 

どちらにしろ、今使っているフォーマットの変更が必要です。

 

この記事を見て「ヤバイ」と思ったなら下記の手順で対応をしましょう。

  1. 身元保証制度を見直してみる
  2. 賠償額の上限額を検討する
  3. 身元保証書のフォーマットを変更する
  4. 採用時に正しく運用する

 

未払賃金の時効が「2年」から「3年」へ延長

今回の民法改正で時効の改正がありました。

民法では債権の消滅時効が原則5年に統一されることとなりましたが、

未払賃金については当面の間3年へ延長することなりました。

 

当面ということは、数年後には5年になる可能性がありますが、近々では未払賃金は3年と覚えておいて大丈夫だと思います。

 

この改正が総務・人事にとって何に影響するかというと、主に残業代だと思います。

 

労働基準法の法改正で残業時間の削減が進む中、管理職の時間管理も義務化されています。

それに合わせて勤怠システムを導入したり、一新した会社も多いんじゃないでしょうか。

 

わたしも経験がありますが、システムを導入したり、一新する時に初めて自分の会社の勤怠を深堀するんですよね。

そうすると、「え、こんな計算してたの!?」ということは結構あります。

そして、よくよく見てみると時間の計算がおかしいことに気づき、過去にさかのぼって支払うケースがあります。

その過去にさかのぼって支払う期間が今までは時効である「2年」でした。

それが今度の改正で「3年」になります。

 

従業員からしてみれば嬉しいことです。

ですが、会社からしてみれば支払わなければいけなかったとは言え負担が増える。

総務・人事の担当から言うと予算外の人件費が増える可能性があります。

 

そういった意味で、今回の民法改正の影響は少なからずあります。

 

詳細についてはこちらの動画でも解説していますのでご覧ください。

まとめ

2020年4月の民法改正で総務・人事の仕事で影響するのは下記の2点です。

  • 身元保証書に賠償額の上限設定が必要
  • 未払賃金の時効が「2年」から「3年」へ延長

 

他にも業界によっては「約款を用いた取引に関する改正」や「賃貸借契約の改正」などが関わってきます。

 

今回は総務・人事に関わる民法改正という視点で解説しましたが、そもそも民法改正は一般市民全員に関わることです。

一般市民として、改めて民法改正について自分自身で調べることをオススメします。

 

詳細については下記の法務省ホームページをご覧ください。

民法の一部を改正する法律(債権法改正)について

 

以上、民法改正で総務・人事が知っておくべき事の解説でした。

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