「所得税ってそもそも何?」
「所得税の税率は何%」
「どうやって所得税が計算されているの?」
あなたはそんな疑問をもったことはありませんか?
じゃあちょっと調べてみようと思って検索してみても専門用語がありすぎてわからないっていうこともありますよね。
この記事では、そんなあなたに所得税の計算方法をザックリとわかりやすく解説します。
所得税の計算は大枠が理解できればそんなに難しくはありません。
ご覧いただければ、あなたのお金の知識レベルが間違いなく向上します。
ぜひ、ご覧ください。
所得税の計算をする前に知っておきたいこと
所得税は、給料に税率をかけるだけで割り出されるものではありません。
消費税みたいに「金額×10%」のような単純な計算ではないのです。
なぜかというと、同じ給料でも人によって家族がいたり、障害をもっていたりと、環境が違うので、そこを配慮しないと不平等になるからです。
例えば、同じ年収でも独身の人と家庭を持っている人ではかかる費用が違うし、住宅ローンを払っていれば毎月費用が発生する。
このようにそれぞれの事情を考慮し、「この人は5%、この人は10%」というように一人一人の状況によって税率などを変えているので計算が複雑になっているのです。
ここまでで「難しそう・・・」と感じた方もいると思います。
でも大丈夫です。
所得税はザックリと大枠を理解することで仕組みがわかってきます。
最初は抵抗があるかもしれませんが所得税を理解すれば、節税の知識が身に付き、将来役に立つことは間違いありません。
ちょっとでも所得税に興味を持った方は読み進めてみてください。
所得税の計算には4つのステップがある
最終的に払わなければならない所得税を決定するためには4つのステップを踏む必要があります。
4つのステップは下記の通り。
- 「給料(収入)」から「給与所得控除」を引いて「所得」を出す
- 「所得」から「所得控除」を引いて「課税所得」を出す
- 「課税所得」に「税率」をかけて「税額」を出す
- 「税額」から「税額控除」を引いて所得税を決定する
図に表すと下記のようになります。
一つ一つ見ていきましょう。
①「給料(収入)」から「給与所得控除」を引いて「所得」を出す
まず前提として2つの事をお伝えします。
①収入と所得は違う
②計算は年額である
収入と所得と聞くと「何が違うの?」と思うかもしれませんが、違うものなんです。
「収入」とは、給与所得控除を引く前の給料のこと。
「所得」とは、給与所得控除を引いた後の給料のことを言います。
また、計算は「年収」です。
所得税の計算は、年単位で行われます。
「え?毎月給料から所得税引かれてるけどなんで?」と思った方もいると思いますが、それは概算で引かれている所得税です。
この概算で所得税を取ることを「源泉徴収」と言います。
源泉徴収について詳しく知りたい方は下記の記事も合わせてご覧ください。
給与所得控除とは
さて、話を戻して「給与所得控除」について解説します。
先ほども申し上げた通り、収入から給与所得控除を引いたものが所得になります。
では、給与所得控除とは何なのかというと、一言でいえば「サラリーマンの経費」です。
経費というのは収入を得るために自腹を切ったお金です。
例えば、リンゴを100円で買って、110円で売ったら、経費は100円になります。
つまり
「収入」-「経費」=「所得」という式が成り立つわけです。
でもサラリーマンは自分の収入のために自腹を切って収入を得ていません。
会社のお金で物を買ったり、売ったりして、毎月定額の給料をもらっています。
ですので、サラリーマンは経費がないのです。
じゃあどうするかというと、「みなし経費」という意味で「給与所得控除」という経費を給料から引いてあげようというのが第一ステップになります。
なんとなくわかりましたか?
給与所得控除の控除額
給与所得控除額は収入(年収)によって違います。
違いは下記の通り。
1,625,000円(百65万5千円)までは控除額550,000円(55万円)となり、それを超えると計算式が変わっていきます。
最終的に1,950,000円(百95万円)が最高の控除額となり、サラリーマンはどれだけ頑張っても経費は1,950,000円(百95万円)が最高だということがわかると思います(フリーランス・自営業などは経費に上限がない)
はい、ちょっと数字が多かったですよね。
とりあえず、「給与所得控除額」は収入(年収)によって違うということだけ覚えていただければ大丈夫です。
ここまでご理解いただけたでしょうか。
続いては「所得控除」についてご説明します。
②「所得」から「所得控除」を引いて「課税所得」を出す
ステップ1で収入から所得を割り出しました。
次は所得から「所得控除」を引きます。
「所得控除」とは何かというと、「個人特有の控除」です。
例えば、同じ年収500万円でも独身と子持ちの方だったら子持ちの方が生活費がかかりますよね。
なので、子持ちの方の所得税を安くいてあげようというのが「所得控除」です。
他にも「所得控除」には状況に応じて様々な控除が用意されています。
主なものは下記の通り。
- 配偶者控除:年収150万円以下の妻または夫がいる場合に受けられる控除(原則38万円)
- 扶養控除:年収103万円以下の親族がいる場合に受けられる控除(原則38万円)
- 障害者控除:障害者を持っていると受けられる控除(48万円)
- 生命保険保険料控除:生命保険に加入していると受けられる控除
- 地震保険料控除:地震保険に加入していると受けられる控除
など
上記の通り、人それぞれの状況によって控除が受けられるようになっているのです。
これをまとめて「所得控除」と言います。
そして、所得から所得控除を引いたものを「課税所得」と言うんです。
お分かりいただけましたか?
所得控除は、年末調整や確定申告の時に申告して受けられるようになります。
ご自身でどの控除が受けられるか確認してしっかり申告しましょう。
③「課税所得」に「税率」をかけて「税額」を出す
いよいよ「税率」かけるわけですが、かけるのは「課税所得」です。
税率は下記の課税所得の金額によって変わります。
上記の通り、1,949,000円(百94万9千円)までが5%の税率になっています。
それを超えると徐々に上がっていき、最高で45%の税率がかかるということになります。
ちなみに「控除額」は税率をかけてから控除される金額の事で、例えば「課税される所得金額」が7,000,000円の場合には、求める税額は次のようになります。
『7,000,000円×23% – 636,000円= 974,000円』
というのが正式な計算式になります。
とはいえ、ここまでくるとややこしいので「課税所得に税率をかける」ということだけ覚えていただければ大丈夫です。
課税所得に税額をかけることによって「税額」が割り出されます。
最後はこの税額から控除できる「税額控除」について解説します。
④「税額」から「税額控除」を引いて所得税を決定する
最後は税額から「税額控除」を引く行程です。
通常はこの「税額」こそが、あなたが今年納めなければならない所得税になります。
しかし、ある条件の人だけが「税額」から直接控除できる「税額控除」を受けることができます。
そのある条件とは「マイホームを購入して住宅ローンを組んでいる人」です。
これを「住宅借入金等特別控除」と言います。
マイホームを購入した人は特別に税額から数十万円~数千円の控除を受けることができるのです。
※ちなみに「税額控除」には、配当控除や寄付控除などがありますが、ここでは最も該当者の多い住宅借入金等特別控除をご紹介しました。
というわけで、税額から税額控除を引いて残った税額。これが「あなたの所得税」です。
ここまで長かったですよね・・・。
これでもかなり省いてザックリと解説してるんですよ。
はい、以上が所得税の計算方法でした。
ここまで「やっぱりわからん!」という方は動画でも解説していますので、ぜひご覧ください。
まとめ【所得税の計算は複雑】
所得税はかなり複雑な計算をしています。
ですが、この記事でザックリと流れが理解できればあとは肉付すればいいだけ。
大枠が理解できればそんなに難しくはありません。