法律

【子の看護休暇・介護休暇の時間単位取得Q&A】会社担当者が知っておくべきポイントを解説

2021年1月から子の看護休暇と介護休暇を時間単位で取得可能となります。

 

と急に言われても勤怠管理どうすればいいの?となりますよね。

 

この記事では子の看護・介護休暇の時間単位の取得についてQ&A方式でわかりやすく解説します。
会社の担当者さまにお役に立たれれば幸いです。

 

わんこ社労士
この記事を書く私は社会保険労務士。様々な会社で労務を担当し、経験年数は10年です。

 

目次

子の看護休暇・介護休暇時間単位取得の概要

2021年1月から子の看護休暇と介護休暇が時間単位で取得できるようになります。
ポイントは下記の通り。

  1. 時間単位で取得可能になる
  2. すべての労働者が取得できる
  3. 法令では「中抜け」は求められていない
  4. 就業規則の改定が必要

 

時間単位で取得可能になる

時間単位とは「1時間単位」の事を言います。

労働者が希望する時間数で取得させなければいけません。

 

取得できる時間は、労働者の所定労働時間になります。

所定時間が7時間30分など分単位である場合は「切り上げ」します。

 

例えば、所定労働時間が「7時間30分」の場合は「8時間」、「6時間45分」の場合は「7時間」です。

 

すべての労働者が取得できる

時間単位の子の看護・介護休暇はすべての労働者が取得できます。

 

ただし、労使協定を締結することにより、時間単位の休暇制度の対象からその業務に従事する労働者を除外することができます。

 

法令では「中抜け」は求められていない

法令では時間単位を中抜けは求めていませんが、国としては法を上回る制度として「中抜け」ありの休暇取得を認めるように配慮をお願いしています。

 

既に「中抜け」ありの休暇を導⼊している企業が、「中抜け」なしの休暇とすることは、労働者にとって不利益な労働条件の変更になりますので、労働者への説明と同意が必要になります。ご注意ください。

 

就業規則の改定が必要

すべての企業で就業規則の改定が必要になります。

 

規定例は下記の通り。

 

就業規則の規定例(子の看護休暇)

(子の看護休暇)
第 10 条
1 小学校就学の始期に達するまでの子を養育する従業員(日雇従業員を除く)は、負傷し、又は疾病にかかった当該子の世話をするために、又は当該子に予防接種や健康診断を受けさせるために、就業規則第◯条に規定する年次有給休暇とは別に、当該子が1人の場合は1年間につき5日、2人以上の場合は1年間につき 10 日を限度として、子の看護休暇を取得することができる。この場合の1年間とは、4月1日から翌年3月 31 日までの期間とする。
2 子の看護休暇は、時間単位で始業時刻から連続又は終業時刻まで連続して取得することができる。
3 取得しようとする者は、原則として、子の看護休暇申出書で事前に人事部に申し出るものとする。
4 本制度の適用を受ける間の給与については、別途定める給与規定に基づく労務提供のなかった時間分に相当する額を控除した額を支給する。
5 賞与については、その算定対象期間に本制度の適用を受ける期間がある場合においては、労務提供のなかった時間に対応する賞与は支給しない。
6 定期昇給及び退職金の算定に当たっては、本制度の適用を受ける期間を通常の勤務をしているものとみなす。

 

就業規則の規定例(介護休暇)

(介護休暇)
第 11 条
1 要介護状態にある家族の介護その他の世話をする従業員(日雇従業員を除く)は、就業規則第◯条に規定する年次有給休暇とは別に、当該家族が1人の場合は1年間につき5日、2人以上の場合は1年間につき 10 日を限度として、介護休暇を取得することができる。この場合の1年間とは、4月1日から翌年3月 31 日までの期間とする。
2 介護休暇は、時間単位で始業時刻から連続又は終業時刻まで連続して取得することができる。
3 取得しようとする者は、原則として、介護休暇申出書で事前に人事部に申し出るものとする。
4 本制度の適用を受ける間の給与については、別途定める給与規定に基づく労務提供のなかった時間分に相当する額を控除した額を支給する。
5 賞与については、その算定対象期間に本制度の適用を受ける期間がある場合においては、労務提供のなかった時間に対応する賞与は支給しない。
6 定期昇給及び退職金の算定に当たっては、本制度の適用を受ける期間を通常の勤務をしているものとみなす。

 

わんこ社労士
ちなみに⼦の看護休暇と介護休暇が無給でも法律違反ではありません。
ですが、有給にしてあげた方が従業員が安心して使えます。

 

【取得単位Q&A】子の看護休暇・介護休暇時間単位取得

ここからは厚生労働省が出しているQ&Aを元に、子の看護休暇・介護休暇時間単位取得について詳細を解説していきます。

 

見づらい場合は、目次から知りたい情報をクリックすると飛ぶことができるので目次をご活用ください。

 

※以下文章より子の看護休暇と介護休暇を「看護・介護休暇」と略しています。

 

2時間単位での看護・介護休暇の取得のみ認め、1時間単位での取得を認めないこととする取扱いはできますか?

できません。

事業主が一方的に、又は労使協定を締結することにより、2時間単位での看護・介護休暇の取得のみ認め、1時間単位での取得を認めないこととする取扱いはできません。

 

わんこ社労士
ちなみに分単位で休暇を取得させることもできます。
分単位にする場合は労使協定の締結が必要です。

 

分単位で看護・介護休暇を取得できることとしている場合に、時間単位で取得することが可能な制度を別途設ける必要がありますか?

分単位で看護・介護休暇を取得できる制度を導入している場合は、法を上回る内容となっているため、別途、時間単位で取得できる制度を設ける必要はありません。

 

1日の所定労働時間数が7時間 30 分の労働者が、丸1日休暇を取得する場合、どのように取り扱えばよいですか?

1日の所定労働時間数分の看護・介護休暇の取得として取り扱うことなります。

 

何時間分の休暇で「1日分」の休暇となりますか?

休暇を取得した時間数の合計が1日の所定労働時間数に相当する時間数になると「1日分」の休暇を取得したものと扱います。

 

もし1日の所定労働時間数に1時間に満たない端数(30分など)がある場合には、端数を時間単位に切り上げが必要です。

例えば、1日の所定労働時間数が7時間 30 分の場合、時間単位で看護・介護休暇を取得する場合は、「30 分」という端数を切り上げて、8時間分の休暇で「1日分」となります。

 

所定労働時間が異なる労働者が混在している場合、何時間分の休暇で「1日分」の休暇となりますか?

何時間分で「1日分」の休暇となるかは、労働者ごとに決まります。

1日の所定労働時間数が7時間の労働者は、7時間分の休暇で「1日分」の休暇となり、1日の所定労働時間数が8時間の労働者は、8時間分の休暇で「1日分」の休暇となるということです。

 

年度の途中で所定労働時間が変更となる場合、時間単位で取得可能な時間数はどのように考えればよいですか?

時間単位で取得可能な看護・介護休暇の日数・時間数のうち、日単位に満たない時間数については、所定労働時間数の変動に比例して変更されます。

 

ただし、比例変更した場合に1時間に満たない端数がある場合は、端数を切り上げた時間数として取り扱うことが必要です。

 

なお、所定労働時間数が変更となる日よりも前に看護・介護休暇の申出をした場合であっても、所定労働時間数が変更となる日以降に実際に看護・介護休暇を取得する場合には、変更後の所定労働時間数をもとに取り扱います。

 

4月1日から翌年の3月31日を一つの年度として運用している場合、2020年4月1日以降に既に一定日数の看護・介護休暇を取得している場合、改正制度の施行日(2021年1月1日)以降の休暇取得をどのように考えればいいですか?

改正後に取得可能な休暇の日数・時間数は、改正後の規定が適用されることになります。

 

もし2020年4月1日から改正制度の施行日の前日までに改正前の規定に基づき「半日」単位の休暇を奇数回取得した場合、「半日」は所定労働時間数の2分の1の時間数として取り扱うことが必要です。

 

「所定労働時間数の2分の1の時間数」に1時間に満たない端数がある場合には、端数を切り上げた時間数として取り扱うことが必要になります。

 

日によって所定労働時間数が異なる労働者が、休暇を取得する日の所定労働時間数と同じ時間数の子の看護・介護休暇を取得する場合には、日単位として取り扱うべきですか?時間単位として取り扱うべきですか?

時間単位で看護・介護休暇を取得する場合の「時間」は、看護・介護休暇を取得しようとする日の所定労働時間数未満の時間としており、休暇を取得する日の所定労働時間数と同じ時間数の看護・介護休暇を取得する場合には、日単位での看護・介護休暇の取得として取り扱うこととなります。

 

 

8:30~17:00(休憩 12:00~13:00)の企業では、始業時刻から4時間の看護・介護休暇を取得すると休憩時間に差し掛かってしまうが、どのように取り扱えばよいですか?

始業時刻から4時間の看護・介護休暇を取得する場合には、8:30~12:00 と 13:00~13:30 を合計した4時間となります。

 

9:00~17:45(休憩 12:00~13:00)の労働者が、終業時間に合わせた時間単位の看護・介護休暇を取得する場合、17 時から 18 時の1時間となるか、16 時 45 分から 17 時 45 分までの1時間となるか、どちらですか?

終業時刻(17 時 45 分)からさかのぼった1時間である 16 時45 分から 17 時 45 分までの1時間となります。

 

なお、 16 時 45 分から 17 時 45 分までの1時間の看護・介護休暇の取得の申出をし、実際には 17 時から 17 時 45 分までのように1時間に満たない時間を休んだとしても、1時間の看護・介護休暇を取得したものとして処理しても差し支えありません。

 

わんこ社労士
ちなみに、労働者が休んだ時間分の賃金を控除する場合には、実際に休んだ時間を超えて控除してはいけません。

 

改正後に労使協定の締結により時間単位での看護・介護休暇の取得の対象から除外された労働者について、これまでと同様に半日単位で取得できるようすることは可能ですか?

時間単位での看護・介護休暇の取得が可能な労働者については、半日単位での取得を可能とする必要はありません。

 

なお、時間単位での取得に加え、これまでと同様の半日単位での取得を可能です。
ただし、次の例のように1日分を全て時間単位で取得する場合と比べて労働者にとって不利益な制度や運用とならないよう気をつけてください。

(例)
・1日の所定労働時間:8時間
・午前休の時間:3時間
・午後休の時間:5時間
⇒ 午前休の3時間を2回分(計6時間分)で「1日分」の休暇として扱う運用は、時間単位で取得する場合に比べて2時間分不利となり、このような取扱いは適切ではない。(時間単位休暇8時間分で「1日分」の休暇になるため)

 

【対象労働者Q&A】子の看護休暇・介護休暇時間単位取得

ここからは対象労働者についてのQ&Aです。

 

1日の所定労働時間が4時間以下の労働者については、改正後には時間単位での看護・介護休暇の取得ができることとなるのでしょうか。

できます。

現在半日単位での看護・介護休暇の取得ができないこととされている1日の所定労働時間数が4時間以下の労働者について、改正後は、時間単位での看護・介護休暇の取得ができるようになります。

 

半日単位で取得することができない労働者を労使協定で定めている場合に、時間単位で取得することができない労働者を定めるために、改めて労使協定を締結する必要がありますか?

業務の範囲が異なる可能性があるため、改めて労使協定を締結する必要があります。

 

交代制勤務による業務のうち夜勤の時間帯に行われる業務のみを「業務の性質や実施体制に照らし1日未満の単位で休暇を取得することが困難と認められる業務」とすることは可能ですか?

可能です。

 

コアタイムの無いフレックスタイム制度が適用されている場合は、時間単位の看護・介護休暇の対象としなくてもいいですか?

フレックスでも時間単位の休暇対象としなければなりません。

看護・介護休暇は、労務提供義務を免除させる効果であるため、たとえフレックスタイム制度のような柔軟な制度が適用されている場合であっても、申出があった場合には時間単位で看護・介護休暇を取得できるようにしなければなりません。

 

変形労働時間制が適用される場合は時間単位で休暇を取得できますか?

取得できます。

変形労働時間制が適用される労働者が時間単位で看護・介護休暇を取得する場合は、変形期間における1日平均所定労働時間数が1日分の休暇となります。

 

【実務上の勤怠管理】子の看護休暇・介護休暇 時間単位取得

さて、ここまで子の看護休暇と介護休暇の時間単位の制度を見てきましたが、実務上の勤怠管理はどうすればいいのか悩みますよね。

 

そこで私なりに考えた案を3つお伝えします。

  1. 勤怠システムを導入して対応する
  2. Excelで別途管理簿を作る
  3. 既存の勤怠システムの機能でカバーする

 

①勤怠システムを導入して対応する

まだ勤怠システムを導入していな場合は、勤怠システムの導入の検討をおすすめします。

今後も法改正で勤怠管理が複雑になるでしょうし、在宅勤務が増えてきた現在では勤怠システムの導入は必須と言えます。

 

勤怠システムの導入に迷っている方は「ボクシルSaaS」というサイトをご覧いただければ検討しやすいのでおすすめです。

 

②Excelで別途管理簿を作る

小規模な会社ではエクセルで勤務表を作成しているところが多いでしょう。

おそらく子の看護休暇・介護休暇もExcelなどで別途管理しないといけません。

 

勤怠システムを入れるほどでもない規模であればこちらのサイトでExcelがダウンロードできます。

参考までにダウンロードをしてみてください。

 

③既存の勤怠システムの機能でカバーする

勤怠システムによっては費用がかかるので、時間単位の休暇は既存の機能でカバーすることも検討している会社もあるのではないでしょうか。

 

既存の機能を使うとすれば、「中抜け時間」に使われる機能がよいでしょう。

「中抜け時間」は本来、病院や私用で仕事を抜けた時に使われる機能です。

 

子の看護休暇・介護休暇が無給の場合は中抜け時間を入れるとともに、理由欄に「子の看護休暇」と入力してもらうことで対応できます。

 

まとめ

子の看護休暇・介護休暇の時間単位の取得はすべての会社が対象です。

しっかり準備をして備えておきましょう。

 

この記事が皆様のお役に立てれば幸いです。

 

 

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